初診では保険による白いレジン(コンポジットレジン)が変色した前歯が目立つことがお悩みで、前歯を綺麗にしたいという患者さんのご希望を伺いながら初診検査とクリーニングを行いました。

2回目のご来院ではクリーニングの後、院長診断とトリートメントコーディネーター(TC)による約30分のコンサルティングを行いました。
ラミネートベニアもご希望の１つでしたが他院での保険によるレジン治療の結果、ラミネートベニアでの治療が困難であることからジルコニアセラミッククラウンによる、前歯4歯の審美歯科治療をご提案しました。また左上2番が少し前に出ていることを気にされていたので、自然な形となる治療を計画し、機能面では舌面の形態を整えることでアンテリアガイダンスの改善を図ることにしました。
また、前歯部も含め全体的に咬耗が顕著に見られるため、治療終了後にはナイトガードの使用をおすすめしました。

●右上1番・2番/左上2番
　支台歯形成
●左上1番
　ファイバーコア 築造
　3M Lava ジルコニアセラミッククラウン

ジルコニアセラミックの色調を周囲の歯とバランスをとりながら合わせていきます。患者さんのご希望も伺いながら下の歯よりも少し明るめの色を選択しました。
抜髄された左上1番の根管治療はしっかりできていたのでファイバーコアで支台築造し、残りの3本はご自分の歯を土台として支台歯形成を進めます。

宮本歯科では、印象採取までの間に素材の違いだけで形態は本歯に遜色ない仮歯をご用意してセットします。精密な仮歯を丁寧にセットすることで咬み合わせ(顎位)と歯ぐき(歯肉)のコントロールができます。この仮歯の期間が、最終的な審美性・機能性を保った治療の成否に繋がります。
特に印象時の歯肉に炎症がなく健全な状態であることが最も重要です。

こうしてコンディションを整えてから、形成した歯と歯ぐきの間に圧排糸という細い糸を丁寧に入れていきます。

圧排のあと充分に防湿を確認して保険外診療用のシリコン印象材を使って歯型を取ります。手間をかけることでシリコン印象材がしっかり歯ぐきの間に入り込んで綺麗な印象を採取するこができます。
シリコンでの精密印象は、患者さんにご辛抱を頂くこともございますが、現時点ではデジタルスキャナーによる光学印象は宮本歯科が求めるレベルの精密さには達していないため、いわゆるアナログなシリコンでの精密印象を選択しています。

宮本歯科では大阪のデンテックインターナショナルという歯科技工所に製作を依頼しています。宮本歯科で採取した印象による模型を技工所でスキャンしてデジタル化、CAD/CAM 作業指示書に沿ってデジタルの切削機械を使ってジルコニアフレームを削り出します。

そのジルコニアフレームに対して、歯科技工士が手作業で歯の形を作っていきます。これを築盛といって一層ずつ天然歯の構造を再現していきます。今回は事前のシェードテイクに合わせて少し明るめの色調で製作しました。

初診でご来院頂いてから約1カ月半、前歯4歯のジルコニアセラミッククラウンをセットしました。

保険治療によるレジンの変色で審美性にお悩みは抱えていましたが日頃のホームケアを含めてデンタル IQ の高い患者さんで、通院もしっかり続けて頂けた結果このように歯ぐきも引き締まった健康的な口もとになりました。

今後は奥歯(臼歯部)の虫歯治療と並行してナイトガードを製作して、歯を守りながら治療を続けていきます。